1月末に発表された2013年の自動車メーカー各社の業績は、やはり円安の影響が大きかったか、好調だった。昨年11月25日から12月1日行われた東京モーターショー2013も久しぶりに活況を呈ししていた。しかし、各社のブースではあまりエコカーを強調した展示は見られなかった。

各社のブースで目立ったのは、走りの楽しさを強調したスポーツタイプのコンセプトカーの展示だった。若者の自動車離れに危機感が高まり、自動車メーカーはこれまで注力してきたエコカー路線を放棄して、ガソリンをばら撒いて走りを楽しむスポーツカーに力を集中したのか。そう見紛う印象だったが、実際は会場を別にして「SMART MOBILITY CITY 2013」が開催されており、そこにエコカー系の展示がまとめられていた事情があったのだ。

2013年のモーターショーの展示を振り返って、エコカーのトレンドをまとめると、3Sと言えそうだ。それは、「スポーツ」、「スモール」、「スマート」という3つのSである。

 「スポーツ」については前述したように、多くのメーカーのスポーツコンセプトカーを中心にアピールしており、その背景には若者の車離れがある。しかし、速く走れば燃費も環境もどうでもよいというユーザーはいまどきいない。多くのユーザー、もちろん若者を含めて求めているのは、走りを楽しめるスポーツタイプのエコカーである。メーカー各社もそれを提供しようとしている。
 2013年5月にホンダがF1に2015年から再参戦すると発表したのも、ターボによるエネルギー回生システムの技術を磨き、モーターとターボによる “究極のHV(ハイブリッド車)”の技術開発につなげるねらいがあるとも言われている。「スポーツ」の強調は、モータースポーツファンやスポーツカーファンを引き付けるだけでなく、将来のエコカー技術開発にもつながるのである。

sportscar東京モーターショー2013の各社の展示ブースではスポーツタイプのコンセプトカーが目立った。左からホンダSNS CONCEPT、トヨタFT-86 Open Concept、スバルVIZIV  EVOLUTION CONCEPT。

 「スモール」については、2013年はまさに「低燃費軽自動車ブーム」だった。ダイハツミライースに始まる軽の低燃費車は、スズキ、ホンダなどを巻き込んで熾烈な競争を繰り広げている。最近の国内市場の伸びは、この低燃費軽自動車によるところが大きい。そもそも、軽自動車が普通車より燃費が悪かったというのがおかしな話である。やっと、軽自動車メーカーもエコカーづくりに本気に取り組んできたとも言えよう。しかし、その熱意に税制改正で冷や水をかけようとする政府はあまりにも近視眼的でセンスが悪すぎる。軽自動車の低燃費化は、まさに高齢社会や新興国の市場を切り開く技術であり、国を挙げて推進すべき技術である。
 軽自動車だけでなく、超小型EV(電気自動車)の開発も進んでいる。トヨタの一人乗りEV「コムス」を二人乗りにした「T.COM」。ホンダのMC-βは二人乗りで時速80㎞走行も可能だという。ベアリング会社NTNが開発したQ’moⅡ(キューモツー)は、インホイールモーターで「横方向移動」も可能だという。すでに公道の走行も可能になりつつある。

compactevSMART MOBILITY CITY 2013の会場では超小型モビリティ走行体験会は人気だった。左からトヨタ車体のT・COM、TNTのQ’moⅡ、日産ニューモビリティコンセプト(一番右)。

 そして「スマート」は、まさにスマートシティにおけるエコカーの開発である。「SMART MOBILITY CITY 2013」のテーマは「KURUMA NETWORKING―くらしに、社会に、つながる車」。これからのクルマは、クルマ単体で存在するのではなく、環境・エネルギー技術や情報通信技術などによって、住宅をはじめとする私たちのくらしや社会と“つながり”、新しい役割と価値を持つとしている。
 「SMART MOBILITY CITY 2013」の会場では超小型モビリティ走行体験と称して超小型EVへの試乗が人気だったが、もうひとつ目立ったのが、ハウスメーカー、電機メーカー、自動車メーカーのコラボによる水素自動車に関するプレゼンテーションである。積水ハウス×東芝×Hondaのブースでは、小便小僧ならぬ巨大な「水素小僧」が登場して燃料電池の構造を解説していた。
2015年にはいよいよ燃料電池車の一般ユーザーへの普及が開始となり、ホンダやトヨタなどは市販車販売に向けて生産体制を整えつつあるようだ。2020年代後半には、通常のガソリン車はほとんどなくなり、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車のいずれかがほとんどを占めるようになるかも知れない。

走る、曲がる、止まる…そして“つながる”クルマへ。ぜひ曲がり方を間違わずに、うまくエココミュニティとつながってほしいと願う。(久米谷弘光)

FCV2015年から市販される燃料電池車、左からトヨタFCV CONCEPT、ホンダFCEV CONCEPT。右は2008年からリース販売されているホンダFCVクライテリア。

suisokozou最後に燃料電池の中で水素と酸素の化学反応の際に発生した水を排出します。じょぼぼぼぼ~。積水ハウス×東芝×Hondaのブースに登場した水素小僧。左はホンダの超小型EVのMC-β。