命輝く豊かな森

森の小鳥たちの巣立ちが終盤を迎えたこの時期に、思いがけない所でクロツグミの巣を見つけた。小枝にコケや枯れ枝、土などを使ってできた巣には3羽の雛鳥いて、大きな口を開けて親鳥からミミズや昆虫などの食べ物を貰う微笑ましい場面を見ることができた。雛鳥は2週間ほどで巣立つという。ツグミ類で一番小さい全長約22㎝ほどのクロツグミは、黒いからだから想像できない程の魅力的な声でさえずる鳥とも言われている。

木の葉が茂り薄暗くなった森の遊歩道脇には、オオウバユリが見頃となっている。森の探見を始めた頃に、小さかった蕾から大きなラッパ状の花が咲くのを見て驚いた記憶があります。「威厳、純粋,無垢」という花言葉があるオオウバユリは、約8年もの時間をかけて花を咲かせますが、一回繫殖型といい一生に一度だけ花を咲かせ枯れてしまうという。アイヌの人たちは、球根を掘り出し、でんぷんを取り出し団子や下痢止め薬として利用していたという。

雑木林の中では、巣立った幼鳥連れの小鳥たちをよく見かける。北海道にのみ生息するヤマゲラは、アカゲラなどに比べ、あまり鳴声もあげず移動します。見つけたヤマゲラの親子は、食べ物探しの特訓中で、連れだって移動し時々親鳥が食べ物を渡す場面も見られます。この時期の森は、ヤマグワなどの樹々の実も熟し始め、木の葉に着いた虫なども活動を始めます。食べ物が豊富になるこの季節は、小鳥たちにとって子育てに格好の季節で“命輝く豊かな森”を実感することができます。

写真

  1. 口を大きく開けたクロツグミの雛  

2.遊歩道遊歩道脇のオオウバユリが見頃 

3.ヤマゲラの親子


投稿者プロフィール

久米谷 弘幸

1950年2月17日生まれ
元テレビ局カメラマン
札幌市在住
体力維持とストレス解消を目的に、50歳から始めた野幌森林公園の森を歩く“探見”(探検と発見を組合わせた造語)を定年後も続けています。
一日歩く毎に野幌森林公園の豊かな自然(四季折々の動植物)を、A4の写真用紙に写真12枚程と簡単な想いをつづった“探見日記”を制作しています。
年間200回を超える探見日記は、自然ふれあい交流館などで、毎年2回の展示を行っています。