竹林に囲まれたハイテク工業団地の隣に四日市大学のキャンパスがある。その6号館の一室で、一般社団法人四日市大学エネルギー環境教育研究会(通称:エネ研)の副会長兼事務局長の矢口芳枝さんと実務委員長の戸田和男さんが迎えてくれた。

エネ研写真1

エネ研は、平成21年度に環境省の循環型社会地域支援事業として「3Rプロジェクト・伊勢竹鶏物語」を実施した。その成果については、エココミュニティづくりの事例としてこのエココミュニティ・ジャパンにも取り上げている。

エココミュニティ情報
伊勢竹鶏物語~3R プロジェクト~(三重県四日市市)

「伊勢竹鶏物語」は、家畜飼料の輸入依存を解消しようという思いからはじまったという。市内の竹害対策・里山保全も兼ねて伐採した竹を粉末にしたものと、弁当・パンなどの工場や給食センターなどから出る食品残渣を混ぜ、そこにアライ菌を加えたものを鶏の飼料とするものである。アライ菌は岩などの無機物に含まれるミネラルを含む水溶液と土壌微生物からなる活性微生物群。これにより、鶏舎や鶏糞のにおいが無くなり、鶏と卵が健康に育つという効果が得られるという。

エネ研写真2

【上の写真は竹を粉末化するチッパー、下は竹を粉末化したもの】

エネ研の会長である四日市大学の新田義孝教授が新聞にコラムを連載していたのをみてファンになった様々な分野のメンバーが連携してスタートしたのが竹鶏物語の活動だった。
平成23年9月に研究としては終了し、現在は相談・支援業務という形で継続している。県内4ヵ所で同様の取り組みを支援しているほか、仙台で行なわれている「竹鶏物語」とも連携している。アライ菌の開発者である新井さんが亡くなったために、アライ菌が使用できなくり、現在代替となるものを模索中だという。

エネ研が特に力を入れているのは環境教育(ESD)であり、エネルギー問題はもちろん、河川の水質浄化や生物多様性に関する教育啓発活動、新総合ごみ処理付帯施設への環境教育コーナーやプログラム提案など、その活動は幅広い。

四日市市は石油化学コンビナートによって日本の高度成長を支えた一方、「四日市ぜんそく」という四大公害の歴史をもつ。エネ研のホームページでは、この四日市公害を乗り越えた歴史がスライドショーで見られるようになっている。
http://www.yokkaichi-ene.com/
このスライドショーでは、中国大陸を襲うPM2.5の問題にも触れながら、民主主義と環境技術での公害克服を訴えている。

四日市公害の歴史は、現在も市の環境学習センターで小規模な展示は見られるが、2015年3月には市立博物館のリニューアルに合わせて新たに「(仮称)四日市公害と環境未来館」がオープンする。四日市公害の歴史と教訓を風化させることなく次世代にそして国内外に広く情報発信してもらいたい。

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四日市公害を克服した四日市市ではあるが、現在抱えている環境問題がないわけではない。コンビナートの物流を支える大量の自動車交通により大気中のNO2(二酸化窒素)の値は高い。湾内に長年堆積したヘドロにより沿岸海域のCOD(化学的酸素要求量)も高い。石原産業のフェロシルト不法投棄の問題など個別事業者による不祥事や化学工場の火災爆発事故なども起こっている。
将来、伊勢湾沖でメタンハイドレートが掘削されれば、四日市市はストレージヤードとして活用され、それに伴う環境問題が発生する可能性も考えられる。

大学のもつ高い知見と四日市公害を克服した高い市民力で、新たな環境問題にも果敢に挑戦するエネ研の今後のご活躍を期待する。